裁判で闘う、ということ。

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一審、地方裁判所での裁判は別の弁護士に依頼していたけど、判決が出て、敗訴し、控訴審から別の弁護士を探すというとこで、控訴審からの訴訟代理人の依頼を受けることが稀にあります。

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先日は、近畿弁護士連合会、日本弁護士連合会主催の夏季研修があり、その一つである「控訴審の審理と主張立証のあり方」という、研修講師が現大阪高等裁判所の山田知司判事の研修を受けてきました。

実感としては。

訴訟代理人には、証拠に対する粘り強さが必要だと改めて思いました。

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研修は2時間だったのですが、ご自身の経験や周りの高裁の裁判官らが話しているという具体例を豊富に、代理人向けに示唆に富む話をしていただきました。

ちなみに、大阪高裁では、平成25年の既済件数は3717件、全国では1万7072件とのことです。

 

具体例としては、一審判決がカルテの既済を元に原告、患者側を敗訴としていても、控訴審において、そのカルテの記載の意味内容につき、書いた医師に対して真意を問い、一審判決の解釈とは異なる解釈が真意であったことが明らかにされ、逆転勝訴につながったといった話です。

結局は、一審で行われるべき代理人活動が行われていなかった、ということではあるのですが。

医師としては、「聞かれなかったから、言わなかった。」とのことで、弁護士の「質問力」が問われます。

また、裁判官としては、業界の事情については、一方当事者が話しいるというだけではなく、その裏づけとなる資料があると乗りやすいといった話しもありました。

それは私自身、審判官を4年間やっていた経験からもそう実感します。業界ではこういうものなんです、書類なんてつくりません、数百万円の契約がまったくの口約束なんですと言われてもにわかには信用できません。

また、訴訟代理人としても、とある業界の経理の流れや、企業内の横領被害の実態について主張するとき、裏づけとなる統計に基づいた出版物を見つけ、それを書証として提出した瞬間、裁判官の態度か変わったといったことがありました。

書面、おそるべしです。

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また、

 「立証責任を負っている場合は、自分のストーリーの可能性をいうだけではダメ、相手のストーリーを潰さなければ、立証責任を尽くしたことにならない。」

といった、控訴審に限らない当たり前といえば当たり前の話しもありました。

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こうした感覚、経験、技術。

やはり弁護士ならではのものだと思います。

ふと考えるに、行政不服審査手続き、税務での異議決定や審査請求についても、やはり法律家の舞台だと思います。

ただ、行政に関しては、審理する方が法律家ではありません。国税不服審判所であるなら、国税職員の方々が審理します。事実認定も、法律家ではない方が、証拠を評価し事実認定します。

そこは、司法、裁判ではない以上、厳密な世界ではなく、曖昧な世界であって、曖昧であるがゆえの良さってなんだろうか、とふと考えました。曖昧であるからこそ、そこは利用者有利でなければ意味がないのではないかと。

そのための、「違法」のみならず「不当」も取り消す権限が与えられたところであるのかと。

司法の世界と比べて精緻さが足りないという批判はまとはずれで、曖昧であるがゆえの良さを築いていくのが存在いぎかと。当事者主義についても、利用者有利、親切にしいなと存在価値がなくなるかと思います。

(おわり)